【2020年3月】中国のSNSで新型コロナウイルスをどのように扱っている?【SNS規制】
はじめに
私達がよく使うSNSといえば、LINEやTwitter、Instagramが挙げられるでしょう。しかし、中国ではこれらのSNSは使用することができません。誤解を恐れずに言えば、政府が国民のSNSでの意思疎通を管理するために、国民には中国独自のSNS、例えば、WechatやWeiboなどを使わせています。
そしてそれらのSNSには、NGワードが多数存在し、もしそれらを使ったメッセージを投稿した場合、システムがそのワードをフィルタリングすることになっています。
今回はこのようなシステムで新型コロナウイルスの問題はどのように扱われているのかをMasashi Nishihata氏が調査し、公演されていたので、抜粋して皆さんにご紹介致します。
この記事は以下の公演をもとに作成しています。
Masashi Nishihata氏はどんな人?
Masashi Nishihata氏はカナダのトロント大学でCitizen Labに所属されている方です。過去にもたくさんの論文を書かれており、論文誌にも載っている研究者です。
https://munkschool.utoronto.ca/profile/crete-nishihata-masashi/
中国のSNS規制事情
中国のSNSでは、NGワードリストが存在し、システムによってフィルタリングされます。システムのアルゴリズムは公開されておらず、ブラックボックスですが、いくつかの事例が紹介されていました。
Wechatのケース
NGワードが確認されるとそのメッセージだけ相手に届かなくなります。
NGワードの調査
Wechatを用いて、アメリカと中国間でチャットのやり取りをします。前述したとおり、NGワードが存在するメッセージは相手に届きません。
12/31時点で、「武漢不明肺炎」というキーワードがNGワードリストに登録されていたことが報告されていたようです。
以下の期間で新型コロナウイルス関連のNGワードが見つかっています。
1/1~1/31の間に132個
2/1~2/15の間に384個
2/1~は1月に試したワードを再検証して新たにNGワード化されたものも存在したようです。
考察
※以下は独自の考察であり、Nishihata氏の考えそのものではありません。
国民同士の意思疎通をSNSによって管理することで、曖昧な情報が拡散することを防ぐ一つの術であると言えるでしょう。その一方で、家族間の連絡などでNGワードに引っかかると、意図した意思疎通が不可能になり、迅速な対応ができなかったこともあるでしょう。
日本はそのような規制がないために、デマが拡散し、トイレットペーパーの買い占めや納豆不足が起こるなど、問題が起きています。
この研究は、中国のSNSがどのようにマネジメントされているかを調査したもので、その影響がどこに出ているのかを調査していません。そのため、この中国の管理の仕方に善悪はとえませんが、どちらも一長一短だと言えるでしょう。
個人個人が情報の扱い方、受け取り方をしっかりと考えることが大切だと私は考えます。